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2012年7月30日月曜日

山も暑い!二百名山NO.42『奥大日岳2606m』

上高地と並んで、交通手段の便利さから人のごった返す「立山室堂」
多くは室堂から雄山神社に向かいお札をもらう人、みくりが池周辺を散策する人で、時折、五色ヶ原方面に高山植物を見に行く人や黒部へ抜けていく人がいる中で、奥大日岳から大日岳に抜ける人はきわめて少ないようだ。
毎日下界では気温35℃を超す町の情報がテレビで流れているが、この日の立山は涼しいけども日差しがきつい。

みくりが池と立山三山の風景
なんでも遊歩道のハイライトコースの地獄谷は有毒ガスの噴煙が激しくて、通行止めとのこと。
確かに硫黄のにおいがきわめて強く漂っていて、
時折、プシューッ、という噴煙の吹き出す音が遠くから聞こえる。


雷鳥沢のキャンプ場のテント群をすり抜けて、目の前に見えてくる今日の目的地奥大日岳。

右手に視線を移すと悠然と現れる剣岳

室堂のわんさか雑踏が嘘のように登山道は静かで、高山植物も雪解け後の陽光にのびのびとしている。所々にあるイワカガミの群生とそれを取り巻くチングルマ。
室堂出発から1時間半で尾根道に出て、そこから2時間ほどで奥大日岳頂上に到着。
人の姿はなく途中で出会った室堂からピストンできていた登山者が、「なんだかあっけない感じの頂上」と言っていたが、標高の表示もなく、回りにガスが立ちこめ、視界もだんだんなくなり、その通りのあっけない風景。
尾根道を大日岳方向、今日の宿の「大日小屋」に向かう、
称名廊下と呼ばれる渓谷の向こう側に弥陀ヶ原の台地とそれを縫う高原バス道が見える。
尾根の鞍部あたりに広がる湿地には色んな花々が。
キヌガサソウの群生。
残雪の道を進むと中大日岳。ここもあっけないくらい静か。
しばらくすると大日小屋に到着。

実は宿泊の予約をメールでしてあったが、確認メールの返信の中に「混雑が予想されるので、できれば他の日に変更してください」とあり、小さな小屋なので寝床で寝返りもできないくらい混雑しているのかと、ちょっと心配していた。
団体客が3組入っていて、運良く?そのうちの1組が食堂を寝床として使うことになったので、一般個人客はすこぶる余裕のスペースを確保できた。
一日目の所要時間、立山室堂~大日小屋 5時間半。

山小屋のオヤジさん。
このオヤジさんが、受付で年不相応なコミックを読んでいた。
なんでも夏休みの時期に孫達(お兄ちゃんとその妹らしき感じ)が山小屋を手伝いに来ていて、団体客を大日岳の頂上まで引率したりしていた。そのおじいちゃんおばあちゃんと孫達、そしてその間の息子の世代が切り盛りのメイン。小さな山小屋はこんな家族経営の風景が見えてほのぼのと頑張っている姿を目にする。

夜も翌朝もすっぽり霧の中。
剣岳の脇から日が昇る風景を期待していたが、ご来光も小屋の前からこんな感じで迎える。

さて、朝は団体客が全て出発した後にのんびり下り道を進む。
急坂から木道の大日平に出てくる道、色んな植物が出てきて、これは図鑑によると「オオヒョウタンボウ」とか言う花

こいつは何という名前かわからないがたくさん見られた。


カエルもひょこっと出てきたりして

足下が木道に変わり大日平の広がり。このあたりからの湿原がつい最近「ラムサール条約」の指定を受けた。
バックに見える山は埋蔵金伝説の「鍬﨑山」
ワタスゲが群れて揺れている

大日平山荘でコーヒーを一杯飲んで、再び木道。
この木道なかなかのすぐれもの。

大きな板に切り込みを入れて滑り止めにするくらいはよくあることだが、
その切り込みに違う板を埋め込み、しかもその埋め込まれた板には表面には細かくされた石かコンクリートの粒かそういったたぐいのものを滑り止めとして貼り付けて使ってある。
尾瀬などはそこら中に某電力会社のマーク焼き印入りの木道が敷かれてあるが、何の芸もなくのっぺりとつるつる。雨上がりなどそこら中で登山客が滑ってこけている。ここでも彼ら電力会社の「想定外」がまかり通っているのかと感じてしまうもので、こんな所からも文句が出ないうちに、役員給与を3分の1にして大日平スタイルにした方がいいのじゃない?

そんなこと考えているうちに、「牛の首」というポイントから鎖やロープ、はしごが次々に出てきて渓谷に降りる急坂になる。
一昨年だったかこの急登登山道が崩落し、滑落した人もいたと言うほどの坂だがどうにか切り抜ける。
途中「クガイソウ」が「がんばるまいけ!」と涼しげに手を振っているように見えた。

どうにか登山口に到着

二日目、朝6時半大日小屋発で、この登山口には午前11時ちょうど着。
コーヒーブレイク込みで4時間半の下山道。

陽は昼に近いのでじりじりと暑く照ってきて、標高差1000m位でこんなに違うのか、涼しいところへ行きたい!と観光客をかき分けて日本一の落差を誇る「称名滝」へ。
展望橋の上で水しぶきを浴びて、いや~、生き返った気持ち。